見知らぬ場所 (Shinchosha CREST BOOKS)ジュンパ・ラヒリ ¥ 2,415 通常24時間以内に発送 |
見知らぬ場所 (Shinc... | |
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ふくろう女の美容室 (Shinchosha CREST BOOKS)テス・ギャラガー ¥ 1,995 通常24時間以内に発送 |
ふくろう女の美容室 (Sh... | |
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記憶に残っていること―新潮クレスト・ブックス短篇小説ベスト・コレクション (Shinchosha CREST BOOKS)デイヴィッド・ベズモーズギス ¥ 1,995 通常24時間以内に発送 |
記憶に残っていること―新潮... | |
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北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書)北村薫 ¥ 1,365 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
北村薫の創作表現講義―あな... | |
| 本書は人気作家北村薫の早稲田での文章講義が纏められた一冊。 文章を書くという視点だけではなく、読むという視点からも講義を説く。 文章表現というとついテクニック論になりがちである。 しかし本書では文章に対する感性が重要だということを説いている。 書き手としても一流ならば読み手としても一流である著者の テキストへの感性の素晴らしさが読み取れて、 改めて文章の面白さ。それを追求したくなる。みなさんは「守・破・離(しゅはり)」という心得を知っているでしょうか? 武道を志した人なら耳にした事があるでしょう… いや武道に限らず、茶道、華道など「道」とつくものすべてにおいて言える心得 簡単に言ってしまえば ・守(修)→師について型どうりにすべてを学ぶこと ・破→その型(流派など)を自らの修行で破りさらに心と体を発展させること ・離→守や離を意識せず独自の新境地を生み出すこと 何故こんな事を思い出したかと言うと この本の中で北村さんと、ある雑誌の編集者の話(講義)の中に 「真・善・美」という言葉が出てきたからなのです この本はわたしも大好きなミステリ作家である北村薫さんが 実際に早稲田大学... | ||
博物館の裏庭で (Shinchosha CREST BOOKS)ケイ ・アトキンソン ¥ 2,625 通常24時間以内に発送 |
博物館の裏庭で (Shin... | |
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パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)T.E.カーハート ¥ 2,100 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
パリ左岸のピアノ工房 (新... | |
| パリ市内の「セーヌ川左岸」といわれる地域にあるピアノの修理工房と、そこに出入りするようになったアメリカ人の著者のお付き合いを描いた作品です。 「ピアノもの」といえば演奏家や作曲家がクローズアップされるものですが、この作品はそういったアーティストを描くのではなく、それを支えるピアノたちとピアノをこよなく愛する職人さん、著者を含むその周りの人々とのかかわりを描きます。ちょっと昔の「一見さんお断り」的なヨーロッパに足を踏み入れて戸惑うアメリカ人の著者を通した目が新鮮さ、温かさを等分に描いています。登場するピアノたちは現代のストロングなフルコンサート用のものではなく、ひと昔もふた昔もまえの瀟洒なものばかり。柔らかで軽やかな音色が聞こえてきそうです。日本からは見えそうで見えない、西洋音楽を支えるひとたちの愛情もあふれるごとく伝わってきます。 欲張りをいえば、タイトルは「パリ左岸」じゃなくて「セーヌ左岸」のほうがしっくりくるんじゃないかと…でも、仏語になじみのあるかたばかりが手に取るわけではないので、地名を入れた邦題になるのはいたしかたないことなのでしょう。よってこの件は不問としてこの評価と... | ||
千年の祈り (Shinchosha CREST BOOKS)イーユン・リー ¥ 1,995 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
千年の祈り (Shinch... | |
| 祖国中国を離れてアメリカ・カリフォルニア州で暮らし活躍する新進女流文学作家イーユン・リーの各賞を獲得し絶賛を浴びたデビュー短編集です。本書に収録された10編は、著者が故郷を離れて渡米した後に母国語ではなく英語を使って書かれています。こうした作品成立の経緯は、自由の国アメリカから眺めた祖国という視点を彼女に与え、独自の世界を構築し成功に繋がったと思います。しかし反面(勿論無理もないのですが)距離を置いた事で、抗い難い運命を容認せざるを得ない諦念が浮き彫りになる印象の物も幾つかあります。『あまりもの』では、不遇な老女の噛み締めるような人生のささやかな喜びの断片が『不滅』では、独裁者の影武者的人物がたどる運命の変転を通して、中国の連綿と続いていく終わらない悲劇が描かれています。『死を正しく語るには』は悲運に見舞われた男の姿を嘆くのではなくユーモアを持って明るく見つめ、人生の終焉に際して敬意を表します。『柿たち』は体制に怒りを感じて17人の役人を殺し死刑宣告された男の是非を皆で論じます。表題作『千年の祈り』は、中国からアメリカへ渡った娘の離婚を知った父親が、遥々訪ねて来て安否を気遣い、同時に... | ||
謎とき『カラマーゾフの兄弟』 (新潮選書)江川卓 ¥ 1,365 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
謎とき『カラマーゾフの兄弟... | |
| 名作と言われている、「カラマーゾフの兄弟」ですが、ロシアの文化背景や、キリスト教に関する基礎知識が無いと、ストーリーは追えても、著者の意図した解釈はできません。 かくいう私も、何とかストーリーだけは追いかけて読み終わったわけですが、この状態では消化不良も甚だしく、こころに残る悶々とした気分は収まりませんでした。 その時に本書を知り読みましたが、私が字面だけを追っていた部分にこれだけの深遠な意図、仕掛け、理由があったのかと驚愕の連続でした。 カラマーゾフと言う名前に隠された秘密、3と言う数字の繰り返し、ユダとスメルジャコフとの関連性などなど、「本当に著者はここまでの事を狙って書いたのだろうか?」と感じると共に、そこまでの緻密な計算がなされた小説への畏敬の念が湧き上がって来ます。 本書を読むと、もう一度この名作を読み返し、内容を噛みしめたくなる事でしょう。でも本書の助け無しには、名作の名作たる部分を正しく理解する事は出来なかったと思います。前作「謎とき「罪と罰」」で読者に衝撃を与えた著者が、今回は「カラマーゾフの兄弟」の謎解きに挑んだもの。「カラマーゾフの兄弟」は個人的に世界最高峰の... | ||
謎とき『罪と罰』 (新潮選書)江川卓 ¥ 1,365 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
謎とき『罪と罰』 (新潮選... | |
| 著者はロシア文学翻訳家として知られており、著者の訳でドストエフスキー他、ロシア文学に接した方も多いだろう。私の頃は米川正夫氏だった。その著者が「罪と罰」に仕掛けられた謎を究明するという探求本。その後、「謎とき「カラマーゾフの兄弟」」も上梓している。 正直、一つの作品をここまで深読みできるとは思わなかった。ドストエフスキーの脳の構造が常人離れしており、作品に刻まれた圧倒的な心理描写、行動原理については少しは理解しているつもりだったが、ここまでとはね。著者は作品のテキストを読み込む事によって謎を少しづつ解明して行く。ラスコーリニコフの名前がアンチ・キリストに由来しているくらいなら、まあ少しの研究で分かるかもしれないし、読者が無意識に想定している事と合致する。それよりも被害者の家の敷居を「またぐ」という一般的単語が、「一般社会の倫理の境界を踏み越えて罪の世界に入り込む」という意味の単語から派生している点の指摘などは鋭いと思う。こうした指摘が随所にあり、文学を読む際、原語を理解する重要性を感じさせる。だからと言って、これからロシア語をマスターするのは困難なのだが...。そして、これは単に原... | ||
素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)マーカス・デュ・ソートイ ¥ 2,520 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
素数の音楽 (新潮クレスト... | |
| サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」をわくわくしながら読み、「暗号解読」を読んで、映画「エニグマ」にドキドキ。ペーパーバックの「ビッグバン」をよんでいる最中に出くわした本書。「フェルマー」の感動が甦ります。数学に敬意を、そして美しさを感じることができ、もういちど数学の勉強をしてみたくなりました。学生時代、ぜんぜんダメと思っていた数学。それでも、学習参考書を買ってきました。計算できなくっても、何を言っているのか分からなくっても、数学が伝えようとしていることが「見慣れたものを新しい言葉で表現してみると別のものがみえてくることがある」という本書のメッセージに励まされ、あわせて読み進めています。音楽を美しいと感じ、絵画から美しさとメッセージを感じ取る感性がごく自然なことだと理解でき、そして数学の美しさを発見できたことは、「フェルマー」以上の贈り物かと思います。と呟きたくなる。当然ながら決着するテーマではないけれど、クライマックスまで十分に楽しませてもらえる。数学に詳しくてもそうでなくても。訳者は青木薫のほうが上か?と思える翻訳箇所があった。星マイナス1。難しい言葉はたくさん出てきますが ... | ||
学生と読む『三四郎』 (新潮選書)石原千秋 ¥ 1,260 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
学生と読む『三四郎』 (新... | |
| 《成城大学という場で、ある教授が学生たちに文学を教える行為をめぐる詳細な記述》を読むことを通じて、読者は「文学を学ぶことの意味」もっと言えば「人生を生きる意味」について深く向き合わざるを得ない構造を持った本である。 実際に『三四郎』を「読み」始めるのは後半過ぎからであり、話の内容もいろいろな方面に飛び、良く言えばダイナミック、悪く言えば散漫ということにもなろうが、大学の講義とは元々こういうもの。学生時代を思い出しながら、非常に楽しく読んだ。 特に一人の教育者として、学生に向けた厳しくも優しい眼差しには読みながら何回も心を打たれた。著者と同じように、登場した学生たちの将来に幸あれと願わずにはいられない。 若干、著者の自意識の高さが鼻につくところも散見されるが、それはご愛嬌。純粋に読書の醍醐味を楽しむ意味でも、文学理論の基礎を学ぶ意味でも、有意義な教育論として読む意味でも、そして若者たちの成長物語としても、価値のある一冊である。タイトルから著者がテクスト論を通して学生たちに「三四郎」をこう読み解きましたといった啓蒙的な本かと思っていました(「こころ 大人になれなかった先生」... | ||
ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)アンドレイ・クルコフ ¥ 2,100 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ペンギンの憂鬱 (新潮クレ... | |
| 私たちの生活は、たとえば南極の氷山のようなものらしい。 水面に出ている一角だけでは、水面下の様子はわからない。 冴えない小説家ヴィクトルの生活は、ペンギンの訪れが直接の原因ではないにしろ、なにかしらの引き金となって、気がつけばものの価値やら感覚やらがどうしようもないほどに変わってしまう。 別に急に世界が変わってしまったわけではなくて、水面下にはいつもあった知らない世界が、自分の日常に侵食してくるのだ。 家の鍵は破られる、大金と少女が置いていかれる、発砲事件が相次ぐ・・・ まるでへたくそな冗談のような世界が、つつましくも平穏だった日常をのっとっていく。 そこにまた、閑話休題といったようにペンギンの描写が入ってきて、いい感じに話の腰を折る。 なぜペンギンなのか。こればっかりはわからない。 緊迫した場面で、ペンギンがぺたぺたと歩いている光景を想像すると、なんだか気が抜けてがっくりとなる。 もろい世界の上に生活するのは、人間もペンギンも同じらしい。 温暖化の影響が出ないことを、切に祈る。ソ連崩壊後のウクライナの首都キエフでのお話。憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家が、政財界の大物... | ||
新潮選書 世界文学を読みほどく (新潮選書)池澤夏樹 ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
新潮選書 世界文学を読みほ... | |
| 名作とは、誰もが知っているのに誰も呼んだことが無い作品を言う というジョークがあります。自分にとってはトルストイの「アンナカレニナ」とかプルーストの「失われた時を求めて」というのがそれに当たりますが、とは言え中身を知らないとサスガに後ろめたい。 こういう気持ちをわかる人には要約よりは深く、しかし批評よりは浅く世界文学を紹介している本書は大変身の丈にあった本だと思います。 深みが無い、という批判もあるようですが、自分にとってはソファに寝転がりながら読み飛ばせる本書はなかなか面白かったです。 京大での集中講義という触れ込みの本書だが、 ナボコフ級の名講義を期待すると肩透かしを食らう。 時間的制約もあったとは思うが、 個々の作品の歴史・地理的背景についての 大まかな説明が導入部でなされるほかは、 「講義」の殆どがあらすじの紹介で終わっており、 ところどころに著者独自の切り口が示されるものの、 「読みほどく」というところまでは 到底届いていないという印象を受けた。 とくに、トルストイが全然読めていないと思う。 とはいえ、本書に挙げられた作品を あまり読んでいない人にとっては、 興... | ||
冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)アリステア・マクラウド ¥ 1,995 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
冬の犬 (新潮クレスト・ブ... | |
| 8月の東京で冷房もない自分の部屋で読んでいたのですが、読んでいる間はうだる暑さを忘れました。本のタイトルになっている『冬の犬』なんて、まるっきり厳寒の中でのお話で、背筋が寒くなります。短編集で犬をはじめ、羊、牛、馬といろいろな動物が出てくるのですが、まるでにおいをかげるほど近くにいるような感覚にとらわれるくらい、著者は彼らの生態を絶妙に描き出しています。人の行動も含めて描写が生々しいのですが、読み終えると何かおとぎ話を読んだ後のようで、とても不思議な印象を持っています。「赤毛のアンブーム」で観光客が増える前の、カナダ沿岸部。生き生きとして、みずみずしい描写だけれど、単なる、美しい自然への礼賛ではなくて、そこに暮らす人々に試練を与える過酷な環境。その厳しい寒さや孤独を舞台の上でリアルに描かれる、人間と、動物たちの生と性。大人も子供も、当たり前のように命と向かいあって生きている、と紹介すると、文体やストーリーは無骨なイメージを持たれるかもしれませんが、実に洗練された、趣味のよい世界です。前作に続いて今回も良かった。ってこの作者の書くものを悪く言う人はいませんから、あらためて言うことでもな... | ||
土曜日 (Shinchosha CREST BOOKS)イアン・マキューアン ¥ 2,310 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
土曜日 (Shinchos... | |
| 主人公のヘンリーは40代後半の成功した神経外科医だ。愛する妻は弁護士で、二人の子供は芸術的才能に恵まれており、娘は詩人で息子はギタリストとして成功しており、社会的にも私生活においても実に恵まれた生活を過ごしている。 そんな彼がある土曜日の早朝に目が覚めて、エンジンから火を噴いた飛行機がロンドンの上空を飛ぶの目撃するところから物語は始まり、その土曜日の一日の出来事が描かれる。たった一日ではあるが、その中で妻との出会いまで遡る夫婦の歴史、子供や義父との関係、痴呆になった実母と過ごす時間と、ヘンリーの心情がきめ細かく描かれる。そして、終盤ではヘンリーが日中に起こした交通事故を契機に急速なクライマックスを迎えることになる。 本書のテーマは「不安定」ではないだろうか。ヘンリーは現在の生活に満足しているにも拘らず、早朝に目覚めた時から漠然とした居心地の悪さを感じている。それは初老にさしかかろうとしている自分の年齢による部分もあるが、成長して離れて行く子供や、老いていく親達と関わりの中で現在が満ち足りた状況が決して安定的なものではなく、今まさに移ろいつつあることを感じているからだと思う... | ||
密会 (Shinchosha CREST BOOKS)ウィリアム・トレヴァ ¥ 1,995¥ 2,000¥ 2,840 ★★★★★ |
密会 (Shinchosh... | |
| 失敗したくないと思いながらへまをやり、 こうしてはいけないと解っていながら愚かな真似をする。 悩みのないひとはいないし、何の問題もない家庭もない。 そういう、いわばあなたの隣人の、いや、あなた自身の物語がここにある。 結局のところ他人の暮らしがじぶんとさほど変わりないことを知って、 安心したいのだ。市井の人々の物語を読みたいのは、そんな理由からだ。 CMを作るとき、登場人物の氏名・年齢はもとより、 職業・家族構成・趣味なども考えるのだと聞いたことがある。 トレヴァーが細かな人物設定をすると知り、それと同じだと思った。 ただ彼が書くのは、B面のほうなのだ。 たった三十秒ほどのフィルムから、わたしたちはどれほど多くの情報を 読み取ったり、あるいは想像していることだろう。 もちろん、作者の足元には遠く及ばないのだが。 翻訳者のアンソロジーだった『聖母の贈り物』と比較すると 皮肉っぽい文章は鳴りをひそめ、冷静な観察者としての 作者が浮かび上がってくる。こちらのほうが押し付けがましくない。 でも、じぶんの秘密には不安が残る。 トレヴァーには、もう知られているかも知れない。 クレストブックの... | ||
イラクサ (新潮クレスト・ブックス)アリス・マンロー ¥ 2,520 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
イラクサ (新潮クレスト・... | |
| カナダの田舎町を舞台にした9編の短篇集です。 アリス・マンローという作家の作品を読むのは初めてなのですが、その文章と余韻に魅了されました。 特に、表題作「イラクサ」までの5編は、どれをとっても心に残る作品ばかりです。 その理由は、ありきたりの日常生活の中に起こる心情の機微を、ストレートに描ききっているからかも知れません。 今年映画(「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」)が公開になった「クマが山を越えてきた」は、アルツハイマーになった妻を思う夫の純愛に溢れた作品で、身につまされるものがありました。 冒頭の「恋占い」もジュリアン・ムーアで映画化されるということなので、是非見たいと思います。幸せな新婚生活が、ケーキの行方不明というごく小さな出来事で、なにかがズレてくる。 アリス・マンローは、こうした「決定的瞬間」「分岐点」を描き出すのがとてもうまい。 しかもそうした瞬間は、他の人には決して分からないような一瞬に、ごくごくありきたりな日常の出来事の中に起こる。 何も変わっていないように思えるのだけれど、それまでとは何かが決定的に変わってしまった、という感じに。 時間軸が10... | ||
新潮クレスト・ブックス ペット・サウンズ (Shinchosha CREST BOOKS)ジム・フシーリ ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
新潮クレスト・ブックス ペ... | |
| ビーチボーイズの歴史的名盤、ペット・サウンズに対する偏愛に満ちた評論を、村上さんが偏愛に満ちて訳出した。 訳文の所々は村上さんのヴォイスと著者のそれとの区別がつかなくなっている。(と、僕は思うのだが) 1961年のデビュー以来わずか4−5年ほどで頂点に上り詰め、その後、長い苦難に満ちた道のりをたどる(今もたどり続ける)ビーチボーイズの、まさに絶後となる名盤、ペット・サウンズ。 伝説のアルバム「スマイル」が世に出ていれば、ビーチボーイズもペット・サウンズも全く違った運命が待ち受けていたのだろうが、神は、歴史は、彼らにこの1枚しかお与えにはならなかった(とはいっても、ビーチボーイズには他にも名盤、名曲はいっぱいあるんだけど、不朽の1枚となるとやはりコレになるようです)。 本書は、そのペット・サウンズの1曲々々について歌詞や旋律、演奏をいつくしむように丹念に評している。 まさに偏愛なくしては成しえない仕業。 巻末には村上さんのゴキゲンな解説もついていて、ビーチボーイズファン、村上ファンには堪えられない一冊でとなっている。(と、このあたりはもう一人の偏愛者、萩原健太風。でもないか) 「ペッ... | ||
ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)フィリップグランベール ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ある秘密 (新潮クレスト・... | |
| フランスの高校生が2004年のナンバー1に選んだ作品。 大収穫な一冊でした。 作家自信の自伝的小説でありながら、 一切の感情をはぎとった文学。 にも関わらず、 指の隙間からこぼれ落ちる感情は、 その悲しみを深く伝えてくる。 フランスにおける、 第二次世界大戦のナチスによるユダヤ人迫害を描いている。 戦後生まれの主人公は、 家族の一人息子として育てられてきた。 しかし、 家族には秘密がある。 彼にだけ隠された秘密。 それは、恐ろしい事実を思い起こす、 残酷で、 悲しい秘密だった。 序盤、 あまりにも淡々と書かれた文体に、 ドラマを読みとりにくかったが、 だんだんと引き込まれていく。 結末は、 リアルであり、 ヘビーであった………。成長するにつれ、主人公の中で膨らんでいく疑問。 主人公が紐解く「秘密」と、その行方の物語。 愛する両親や周囲の大人を取り巻いた青春や戦争、懐かしくも悲しい出来事。 短いけれど鮮烈な文章で、 まるで映像をみているかのような気持ちになります。 民族や国は違えど、「戦争と青春」が重なってしまった自分の家族についても考えました。 辛いことの連続でも、そ... | ||
海に帰る日 (Shinchosha CREST BOOKS)ジョン・バンヴィル ¥ 1,995 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
海に帰る日 (Shinch... | |
| 2005年度ブッカー賞受賞作で、アイルランドの類稀なる文章家と激賞される巨匠バンヴィルの繊細且つ静謐な心象風景を綴った慟哭の物語です。妻の癌による死の影を引き摺る老美術史家モーデンは、少年時代の記憶を呼び覚ます為に小さな海辺の町を訪れる。〈シーダーの家〉と呼ばれたかつてのサマーハウスに再び腰を落ち着け、遥か昔に出逢ったグレース一家の思い出に身を委ねる。ミスター・グレースと官能的なグレース夫人、少女クロエと聾唖の少年マイルスの双子の姉弟、子ども達の世話係ローズ。初め女神の降臨の如き夫人の魅力に惹かれるが、気まぐれで何時しか思いは幻滅に変わり、やがて少年の愛は少女クロエへと移る。海辺で過ごすひと夏の幸せな日々の記憶に、数年後にロンドンで出逢った妻と過ごした記憶が割り込んでくる。不意に癌を告知されてからの悟り切った妻と悲しみに沈んで静かに暮らす毎日。モーデンは記憶を掘り起こしながら、人生の意味を幾度も自分自身に問い掛ける。答など出ないと解ってはいても問い掛けずにはいられない。そして記憶は我儘で意地悪な所のあったクロエと弟マイルスに突然降りかかった悲劇の場面へと辿り着く。ある夜酒場で何もかも... | ||